市街化調整区域ってどんな土地?
マイホームを建てるうえで、土地は必要不可欠です。
土地探しをしている時、ポータルサイトや物件資料で「市街化調整区域」というワードを目にしたことはありませんか?
せっかく理想とする土地が見つかっても、市街化調整区域に位置する土地だった場合、土地は購入できても物件を建てられない、建築するにあたって許可が必要だったりすることもあります。
今回は、市街化調整区域の特徴や市街化調整区域に建物が建てられる条件について解説いたします。
目次
1.市街化調整区域ってなに?
土地には市街化区域と市街化調整区域があり、地方自治体が都市計画法に基づき設定しています。
市街化区域は街を活性化させるために活用する地域で、人が住みやすいようにインフラや住宅街、商業施設を計画的に建てていこうというエリアです。
その反対に、市街化調整区域はあまり市街化開発をせず、都市化を抑制しようというエリアです。これは、無秩序な市街化の拡大を防ぐために指定されています。大まかにいうと、「店舗や住宅などを積極的には作ってはいけない、田舎のままにしておくエリア」というイメージです。
詳しくは市区町村の都市計画課で都市計画図を見ることで確認できます。
まずは、市街化区域と市街化調整区域について知っておきましょう。
【市街化区域】
市街化区域は、街を活性化するための地域です。
人々が住みやすくなるように、インフラの整備などが積極的に行われます。
【市街化調整区域】
市街化調整区域とは、市街化を抑制する地域です。
人が住むための住宅や商業施設などを建築することは原則認められていないエリアです。
※地方自治体に申請することで建てられる場合もあります。
1.1.市街化調整区域のメリット
・土地価格が安い
市街化調整区域は、市街化調整区域は都心部から離れた地域に位置することや、建物の建築や建て替えが制限されるため、土地の価格が安くなっています。
・維持コストが低い
住居を維持するための固定資産税が安いというメリットがあります。
固定資産税は土地や建物の評価額に応じて課税されるので、土地の価格が安い地域では負担も小さくなります。
・敷地面積が広い
新たに市街化調整区域を宅地として開発する場合、地方自治体によって1つの敷地につき最低敷地面積を設けています。市街化調整区域での建売住宅などは、市街化区域に比べて土地が広いことが多いです。杉戸町や幸手市では、最低敷地面積は300㎡以上と定められています。
・静かな環境で過ごすことができる
市街化調整区域は、街の開発を抑制するエリアなので、交通量なども比較的少なく静かで穏やかな環境で過ごすことができます。将来的にも、高いビルなどが立ち並ぶことがないため騒音や日当たりなどで悩むことは少ないでしょう。
1.2.市街化調整区域のデメリット
・改築や建替えにも許可が必要
市街化調整区域では新しく住宅を建てるときの確認申請だけでなく、改築や建て替えでも原則として、開発許可が必要です。そのため中古住宅を購入した際、住居が建てられていたとしても自由にリフォームすることはできないので注意が必要です。
・生活利便施設が近くにない
一般的に市街化調整区域は、農業や林業を行う地帯とされています。その為、駅・学校・病院・スーパーなど生活に必要な施設までの距離が遠くなってしまう可能性があります。
・インフラが整っていないケースも
市街化調整区域の場合は、下水道・ガス・電気・道路の舗装がされていない可能性があります。インフラが整っていないと、整備費用が必要となってくる場合も・・・。事前に整備費用がいくら必要になるのか確認する必要があります。
・売却が難しい
市街化調整区域では、さまざまな制限があるため需要が低く、買い手を見つけるのが困難です。
2.市街化調整区域に家は建てられる?
そもそも、市街化調整区域に住宅を建設することはできるのでしょうか。
市街化区域と比べると、家を建てるにあたって厳しい制限はありますが、禁止をされているというわけではありません。
2.1.条件をクリアできれば建築できる
市街化調整区域内でも、地方自治体に申請を行い、条件をクリアできていれば、建設許可を得ることができ、建物の建設が可能になります。条件としては、都市計画法34条に定められている基準を満たす必要があります。
2.2.市街化調整区域で建築できる建物
・住宅兼店舗
住宅兼店舗は、自宅と店舗が一体化した建物のことです。
建物の1階を店舗にし、2階を居住スペースにするなど、個人商店でよく見られます。
建築可能な店舗としては、日用品の販売や修理などを自営で行う店舗に限られています。
そして、店舗面積が最低でも建物の延床面積の2分の1以上なければいけません。
店舗面積については各自治体によって規定が異なる場合があるので、確認が必要です。
・分家住宅
分家住宅とは、既にその土地で農業を営んでいる本家から分家した子供や孫、兄弟などの新たな世帯が住むために建てる住宅のことです。
分家住宅を建てるためには下記3つの条件があり、すべてクリアする必要があります。
①建築主が本家となる者の3親等以内の血族であること
②家を建てる本人に持ち家がないこと
③本家の跡取りが明確になっていること
・既存住宅の建替え
既存住宅が市街化調整区域に区分される前から建っている、線引きの日以前に建物が建っている場合は、宅地に変更するための許可は不要になります。
基本的に同じ敷地で同じ規模、同じ用途の建物であれば建て替えや増築は可能です。
市街化調整区域で家を建築するには、細かな条件があります。
ご自身が当てはまるのか分からない場合は、一度お近くの不動産会社または地方自治体に相談してみるといいでしょう。
3.市街化調整区域を購入する際の注意点
市街化調整区域の土地を購入する際には様々な問題が発生します。
ここでは、土地を購入する際の注意点について解説します。
3.1.土地の地目を確認
土地の地目には、宅地・田・畑・山林・雑種地など、様々な種類があり、どの地目に該当するのか確認が必要です。
・宅地の場合
市街化調整区域に指定される以前からの宅地であることが重要です。市街化調整区域に指定される以前から宅地であり続けているのであれば、建築許可が得られる対象になります。
・農地の場合
地目が農地の場合は、農業を営んでいる人でないと購入することが難しいです。農業を営んでいない人が農地以外の用途で利用できるように、農地転用の申請を行う必要があります。農地転用が不可能な場合は、宅地として利用することができず、住宅の建築もできないため、注意しましょう。
3.2.線引き前の建物か、線引き後の建物かの確認
「線引き」とは、都市計画法が施行されて市街化区域と市街化調整区域に指定された日のことを指します。建物が現存している場合、市街化調整区域に指定される以前に建てられた建物なのか、指定された後に建てられた建物なのか確認を行いましょう。建築年月日が物件資料では不明確な場合は固定資産税課税台帳などを調べる必要があります。建物が建てられた時期によって、建築許可に対する要件が変わってきます。建替えや増築の際に重要な部分になってきますので、必ず事前に確認を行ってください。
3.3.区域指定の確認
市街化調整区域内でも都道府県の条例であらかじめ開発・建築が可能な区域が指定されている場合があります。
たとえば杉戸町の場合、34条11号区域に該当する土地は基本的には誰でも建築することが可能です。
34条12号区域の場合には下記3つの条件があり、すべてクリアする必要があります。
①市街化調整区域内に20年以上居住する6親等以内の親族がいる
(隣接する市町村の市街化調整区域も含む)
②現在、自分名義で家を所有していない
③自分で居住する家を建てたい
しかし、自治体によってはそもそも都市計画法11号や12号の規定そのものの適用を認めていない自治体もあります。そのため購入を検討している土地が、どのような区域指定をされているのか事前に市役所などで確認を行いましょう。
3.4.住宅ローンが通りにくいケースも
住宅ローンでは、基本的に利用者の土地と建物の両方を担保にして、返済できなくなったときのリスクに備えています。しかし市街化調整区域では土地の担保としての価値が低くなります。
そのため住宅ローンの審査の対象外にしている金融機関もあり、基本的にローンを利用して購入するのは難しくなります。
しかし例外として、「誰でも建築できる土地」になっていれば融資を受けられる金融機関はあります。そのため申請者だけでなく、第三者も再建築できるような土地にすれば審査に通る可能性があるので、購入しやすくなります。
3.5.住環境を整える必要がある
市街化調整区域は、本来居住を目的にしていないため、電気やガス、水道などのライフラインが整っていないケースもあります。その場合は必要に応じて自己負担でライフラインを整える必要があることも留意しておきましょう。
4.まとめ
今回は、市街化調整区域の特徴や住宅を建てられる条件についてご紹介しました。
市街化調整区域は土地の価格の安さや敷地面積が広いなどメリットがありますが、住宅を建てるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。その条件は細かく、ご自身だけでは判断が難しい場合も多いです。自分が市街化調整区域に建物を建てられる条件にあてはまるのかなどといったお悩みは、是非一度不動産会社にご相談ください。
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